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ヤマト運輸の物流崩壊の原因は過剰な人件費削減で自爆したことが理由

ヤマト運輸の労働組合が荷受総量の抑制を求めたというニュースがありました。

Amazonだけでなく、ZOZO、SHOPLISTなどの大手通販の登場で荷物は増えるばかりです。

 

Amazonの荷物は佐川撤退による煽りを受けて、一気に急増しています。

センターのドライバーが配達してる車をよく見かけますが、Amazonの箱がどっさり積まれています。

 

日常的に荷物は多いですが、3月、7月、12月はベースがパンクするほどの荷物があります。

発送の拠点になるベースは怒号と罵声も飛び交う戦争状態です。

 

まして配達するセンター側は不在は多い+荷物は多いで悲惨としか言いようがありません。

 

ネット上でもいろいろな意見が出ています。

 

「Amazonが料金を払わないから悪い」

「受け取る客側の問題」

「運賃を値上げすればいい」

「ヤマトもAmazonから撤退すればいい」

 

このような意見が目立ちます。

 

Amazonの運賃を引き上げること、受け取る客側の意識を変えること。

それらも必要なこととは思います。

 

しかし、私は物流崩壊を招いている一番の原因はヤマト自体にあると考えています。

 

ヤマトがAmazonに安い運賃で仕事しますと言ったわけです。

 

「一番の原因は現場で働く人に金払いが悪過ぎる」ということです。

 

 

ヤマトの物流崩壊は過剰な人件費削減にある理由

 

ヤマトの物流が崩壊している原因は金払いが悪いことにある理由は以下の通りです。

 

仕事量は増えるのに賃金は安い+さらに引き下げてばかり

 

平たく言えば、金払いが悪いということです。

 

センターのドライバーはもちろん、大手通販の輸送を支える物流担当のドライバーですらも給料を下げられています。

年ごとに給料が安くなっています。

 

ハッキリ言って、物流の現場にいるヤマト社員の給料は一般の事務社員より低いです。

きつい仕事なのに、派遣社員より給料が低いのはザラです。

 

どんなに大変だろうが、どんなに物量が多いだろうが給料は上がりません。

むしろ下がっています。

 

ヤマトは給料を払えないほど、利益が出てないのかと言えばそうでもありません。

 

過去3年の財務状況

 

ヤフーファイナンスより

 

利益は減るどころか、上がっているのです。

この利益はサービス残業代を払っていないために可能になっていると考えています。

(今日になってサービス残業代の支払いを公表。ズバリ当たった。)

 

ヤマト、巨額の未払い残業代 7.6万人調べ支給へ

 

この数字上の利益の元はきつい仕事をさせておいて、金を払わないがゆえにできてるとも言えます。

 

 

時給が安い

 

激務をやらせる割には給料は最低賃金ギリギリ。

 

大口の顧客の元には社員とパートを常駐させて荷受けと積込をしています。

 

物流の現場は

 

夏場はエアコンがない+冬場は寒い+仕事量ばかり増えても給料は上がらない

 

この3重苦で働きたい人はあまりいません。

 

ベースはもちろん、センターも基本はエアコンも暖房もない場所で作業します。

 

入ってもすぐやめていきます。

1日で来なくなる人はザラ。

 

そんな毎日です。

 

きつい+忙しい+がんばっても給料は上がらない

 

これでは人手不足になるのは当たり前です。

 

その結果、今は夜のベースはクロノゲートなどを含めて外国人労働者がほとんどです。

 

 

バイト・パートは2ヶ月契約しかできない

 

長期で働きたいのに2ヶ月毎に1ヶ月休めと言われます。

社会保険料と雇用保険の削減のためにやっている完全ヤマト都合のシステムです。

 

こんなんで求人がまともにできるわけがありません。

 

2ヶ月働いて1ヶ月休んでもいいよなんて言う人はほとんどいません。

これで仕事の質が上がるわけがありません。

 

そもそもナンセンス。

 

最初から制服を渡して長期間働いてもらおうという気がありません。

常に求人をかけて、常に人を探さなくてはなりません。

 

人件費削減の名目でまだこういうことをやっています。

 

 

年間労働時間というガン

 

社員は賃金引き下げ+年間労働時間の縛りというどうしようもないコンボです。

 

先日、ヤマト運輸が社員の年間労働時間目標を引き下げるというニュースがありました。
ヤマト運輸、正社員の労働時間の年間目標を引き下げへ 来年度以降

 

現在は年間2456時間

来年以降2448時間

 

さらに労働時間を削ろうというわけです。

 

労働時間を減らしたと言えば、「ヤマトは従業員に長時間労働させない会社」といういいイメージがつくという考えでしょう。

 

そもそも年間労働時間を設定した理由は考えれば単純です。

従業員に金を払いたくないということ。

 

契約として結べば、労働時間を超えて働かせなければ人件費が削れるというのが本音でしょう。

 

さらに賃金体系を変更しても労働時間の縛りはなくりません。

 

賃体型を給料が安くなるように変更すれば、人件費削減が簡単にできてしまいます。

 

給料下げると言うのではなく「人事評価システムを変えました」という名目でごまかせます。

 

 

年間労働時間のりを作ったおかげで必要な人件費を削るだけでなく、現場の負担を増やしています。

 

忙しい現場の社員の口癖は「今月労働時間が足りない。ヤバイ」です。

 

労働時間の足りない社員が休む→現場の負担が増える→皆で苦しむだけ

 

この年間労働時間の縛りは何の意味もありません。

 

 

ヤマトの物流崩壊は自業自得でしかない

 

そもそもヤマトの物流崩壊を招いたのはヤマト自身(経営陣の搾取体質)です。

 

物流の現場で働く社員やアルバイト、パートがどうなろうが、

自分たちは甘い汁吸えるので知ったことっちゃないのです。

 

金払いが悪いせいで常に人手不足が根本の原因

物量が増えたなら、それに対応できるように何とかするのが経営の仕事です。

 

給料を上げるどころか引き下げて、株主へアピールするための数字しか見ていません。

がんばって働いても仕事が増えるばかりで給料の上がらない会社に人がいないのは当たり前です。

 

 

 

「仕事をしてる人に給料を払うようにする」

「安請け合いをしない」

 

AmazonやZOZOの物流が増えたせいではなく、

この当たり前を改善しなかったことが物流崩壊の原因と言えます。

 

キツイ仕事がイヤじゃないのです。

キツイ仕事でも稼げるなら人は集まります。

 

 

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