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仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン 書評レビュー

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本屋でたまたま見つけて買って一気読みしました。

 

ヤマト、佐川、日本郵政のバイトとして潜入して労働現場の実態を調べて本にしたルポです。

著者は主に宅急便の配達を請け負ってる業者や新しいヤマト運輸の羽田クロノゲートで仕事をして実態を調査したものです。

 

佐川や日本郵便なども調査してますが、業界1位のヤマトですらヤバイなと思える実情がわかります。

 

 

ヤマト運輸の実情と手を打つべき方策

この著者が書いている・・・

 

・社員によって言うことがバラバラ

・パワハラまがいの怒声、罵声を浴びせる

・冷蔵、冷凍のルールは相変わらず守られていない

 

これは今も昔も同じです。

 

10数年前の学生の頃、私はヤマト運輸のとあるベースで働いていたことがあります。

そのときとこの著者が体験した現在でもヤマトのみを見ても何も実態は変わっていないのです。

 

平たく言えば、現場の人が成長しないサイクルです。

 

送料の叩き合いで利益が出ず→人件費削減→いい人がこない→質が下がる→雰囲気が悪い→辞める人が多い

 

この負のスパイラルの繰り返しです。

 

特にヤマト運輸はAmazonの荷物を一手に引き受けているために物量が増加するばかりで、

荷物を捌く人員不足が慢性的です。

 

結果として、今首都圏のベースでは夜間の主力はほぼ外国人の留学生だとか。

 

ヤマト、佐川、日本郵便のどれも社会のインフラとしての物流を担うところでは

差別化や競争しつつも何か手を打つべき段階にきています。

 

 

私は佐川や日本郵便の現場は知らないので何ともいませんが、

この本を読んでヤマト運輸限定でこういう手を打った方がいいと思うことがあります。

 

 

リストラすべし

 

ヤマト運輸は年功序列式の古い組織体制でリストラをしない企業です。

ベースには仕事をしない社員もいるし、制服を着てるのをいいことに威張り散らすだけの輩が勤続年数長いです。

 

良く言えば、人に優しい会社。

悪く言えば、ぶら下がり社員の温床。

 

 

アルバイトで入ってきたキラリと光る存在は大抵は残ってくれません。

残るのは仕事がない連中で渋々という人間ばかりです。

 

組織を活性化させて、より長く存続するには小倉昌男元会長以来ずっと続いてきたリストラをした方がいい時期です。

人手不足なのになぜリストラか?

 

ぶらさがってる向上心のない社員が人員の定着を妨げてるのはどこも同じだからです。

 

  • 怒鳴るだけで仕事をちゃんと教えない
  • 見てるだけで覚えない人間は使えないと言い放つ
  • 優秀な人間が先読みや先回りした行動をすると不機嫌になる
  • 仕事がバイトより雑
  • 仕事ができないのにできるつもり

 

こんな社員が結構います。

 

普通の企業ならクビにされてもおかしくない人間が今だにのうのうと保護されて続けてるおかげで

優秀な人間がいなくなるダメパターンです。

 

最近は派遣でアルバイトも入れてますが、すぐやめていなくなります。

 

 

 

2ヶ月しか働けないバイト契約をやめるべし

 

雇用保険と健康保険の節約のためにヤマトがやってきた悪しき習慣です。

マイナンバー制度が始まる段階でもまだこんなことをやっています。

 

人員不足と嘆きながら、お金を払うことをケチって人員確保ができず、

ベースの作業はほぼ外国人ばかりとなっている現状です。

 

決算書を見てもヤマト自体は利益は出続けています。

いい仕事をしてくれる人間に金をケチる企業にくるわけがないのです。

 

いい人材は残し、やる気のない制服組は首を切り、循環させないと同じ問題を延々と繰り返すことになります。

 

2ヶ月おきに1ヶ月待機させるようなところには学生もバイトにこないです。

 

 

大口顧客で大きい荷物を出すところは運賃値上げ

 

当たり前ですが、大きな荷物(160サイズ)を全国一律で1個400円で赤字を垂れ流してる場合が多いです。

 

ヤマトの大口顧客を管轄する物流支店はこういうところが多いです。

安い運賃で量ばかり増えたせいで儲からずジリ貧な状態なので、給料も上がらず、募集してもすぐ辞められたりで人も確保できません。

 

ベースでは仕事がきついばかりでギスギスしています。

だから、10年前は日本人ばかりいたのに今はいないという著者の指摘通りです。

 

まして量ばかり増えたせいで荷物の扱いも雑になるので、荷物事故→定価買取で弁償になるので、さらに利益を圧迫します。

 

安売り赤字の銭失いです。

 

さらにベースで働く外国人は荷物のことなんて知ったことではないので、潰すわ、壊すわ、平気でやります。

日本人なら絶対にやらないことも平然とやって素知らぬ顔です。

 

それゆえに1個いくら契約を都合よく考えて、大口の荷物ばかり宅急便で送る顧客は切ってもいいと思います。

 

安い送料契約を使い、送料無料はうれしいけれど、雑な扱いされるぐらいなら、ちゃんとお金払ってもいいと思う一般人は少なくありません。

荷物の個数=利益ではなく、1億個送っても2億個送っても、利益が同じなら、1億個をしっかり送った方がいいのです。

利益が出る体質にするためのサービス向上として値上げを進めるべきだと思います。

 

安請け合いで仕事が雑になれば、ヤマトお断りな人は増えるばかりです。

(私は佐川で送るところからは基本買いません。時間指定守らないので)

 

サービスの質を向上させて値上げすれば、ジリ貧状態も解消されていきます。

ヤマト全体でも値上げしろと営業に葉っぱをかけているようですが、なかなかうまく行ってないところも多いようです。

 

インフラとしての宅配の要でありながら、内情はグチャグチャで混沌としています。

 

ダメな社員をかばい、いい人がいなくなる悪循環で人の成長がなく、仕組みばかりを作ろうとして壊れかけ。

 

これがヤマト単体でも起きている宅配会社の現状です。

 

読めばこの会社大丈夫なの?と思わず思ってしまうと思います。

当たり前のことすら「決算書に利益」を出すためにやってない会社です。

 

上はウハウハかもしれませんが、それを支える現場は崩壊寸前。

これって国としてもマズイのではないかと思ってしまいました。

 

ヤバイ現実に興味ある人は一度目を通してみると結構おもしろいと思います。

 

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